体の成長に必要なタンパク質について【筋肉などの体をつくる材料】
5大栄養素の一つ『タンパク質』についてまとめています。
体の成長に必要なタンパク質
タンパク質は、肉類、魚介類、大豆、卵、牛乳などに含まれます。
1gあたり約4kcalのエネルギーを生み出し、消費エネルギーの13~20%が摂取目安とされています。
タンパク質は体を作る材料になっており、体重の約20%を占めます。
不足すると、体力低下、免疫力低下、成長障害、骨格筋量の低下、運動機能低下などが起こります。
過剰に摂ると、腎機能障害、カルシウム排泄量の増大などを招くことになります。
タンパク質の役割
タンパク質は、筋肉や内臓、骨、皮膚、髪、爪などの、体を構成する主成分となります。
また、内臓が正常に働くためのホルモンや酵素もタンパク質で出来ています。
ホルモン
ホルモンは、狭義には生体の外部や内部に起こった情報に対応し、体内において特定の器官で合成・分泌され、血液など体液を通して体内を循環し、別の決まった細胞でその効果を発揮する生理活性物質を指す。ホルモンが伝える情報は生体中の機能を発現させ、恒常性を維持するなど、生物の正常な状態を支え、都合よい状態にする重要な役割を果たす。
ホルモンwikiより抜粋
酵素
とは、生体内外で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子である。
酵素は生物が物質を消化する段階から吸収・分布・代謝・排泄に至るまでのあらゆる過程(ADME)に関与しており、生体が物質を変化させて利用するのに欠かせない。
酵素wikiより抜粋
タンパク質は身体構成として優先利用される
タンパク質は糖質と比べると、消化・吸収に時間がかかるエネルギー源です。
ただし、平常時にはエネルギー源としてより、細胞、ホルモン、酵素などの構成成分として優先的に利用されます。
タンパク質は合成と分解を繰り返している
体内のタンパク質は、合成と分解を繰り返して平衡状態を保っています。
タンパク質はいずれも分解されてアミノ酸となり、その一部は尿素などとして体外に失われます。
そのため、3食の食事から常に、タンパク質を補給する事が大切です。
タンパク質の不足は成長障害や運動機能低下
タンパク質が不足すると、体力や免疫力の低下、運動機能低下につながります。
タンパク質が不足すると、人体を構成するタンパク質が分解されて不足分を補うため、体力や免疫力が低下します。
また、子どもの成長障害や、高齢者の加齢による骨格筋量の低下、運動機能低下に繋がります。
タンパク質の過剰摂取は腎臓の負担
タンパク質の過剰摂取は、血液をろ過する腎臓に負担をかけ、腎機能障害を招く恐れがあります。
タンパク質には、糖質や脂質のように体に貯蔵するしくみがなく、過剰分は尿へ排泄されます。
そのため、カルシウムの尿中排泄量が増加し、骨粗しょう症の原因になるようです。
また、糖の代謝に関連するインスリンの働きが悪くなる事があります。
グラム数で見る、タンパク質の摂取目安
一般的にタンパク質は、『体重1kgあたり1g』が目安となります。
トレーニングしている方などは、運動強度により『体重1kgあたり1g~2g』が目安となります。
タンパク質はアミノ酸で出来ている
タンパク質は、アミノ酸がたくさん繋がって出来ている栄養素です。
体内のタンパク質は、20種類のアミノ酸の組み合わせで作られています。
食べ物から摂取したタンパク質は、体内でアミノ酸に分解されます。
必須アミノ酸と非必須アミノ酸
食品に含まれるアミノ酸の種類は、食品ごとに違います。
- 9種類は必須アミノ酸(不可欠アミノ酸)と呼ばれ、食事から摂取が必要です。
- 11種類は非必須アミノ酸と呼ばれ、体内で合成できるものです。
必須アミノ酸 (不可欠アミノ酸) | 非必須アミノ酸 (可欠アミノ酸) |
イソロイシン トリプトファン トレオニン バリン ヒスチジン フェニルアラニン メチオニン リシン ロイシン | アスパラギン アスパラギン酸 アラニン アルギニン グリシン グルタミン グルタミン酸 システイン セリン チロシン ヒドロキシプロリン |
9種類ある必須アミノ酸のうち、どれか不足があるとタンパク質としての栄養価値が下がってしまいます。
必須アミノ酸はバランス良く摂る
必須アミノ酸は毎日の食事から摂る必要があります。
しかし、食品ごとに、必須アミノ酸の量や種類は異なります。
必須アミノ酸のうち、どれか一つでも不足すると人体のタンパク質は作れません。
アミノ酸全体の働きは、最も低いアミノ酸のレベルに制限されます。
そのため、不足が無いように、必須アミノ酸をバランス良く摂る事が大切です。
通常の食生活では、必須アミノ酸が不足する心配はほぼありません。
無理なダイエットをしたり、極端な偏食の場合には不足する可能性があるため、注意が必要です。
必須アミノ酸のバランスについては、アミノ酸スコアというものを参考にしましょう。
アミノ酸スコア
食品中のタンパク質を構成する、必須アミノ酸の組成を評価する方法が、『アミノ酸スコア』です。
アミノ酸スコアは、数値が100に近いほどアミノ酸のバランスが良いとされるものです。
食事から摂る必要のある必須アミノ酸を、適切な割合で含んでおり、良質なタンパク質とされています。
アミノ酸スコア100の主な食品
アミノ酸スコア100の主な食品 | |||
鶏卵 | 100 | あじ | 100 |
牛乳 | 100 | いわし | 100 |
大豆 | 100 | さけ | 100 |
牛肉 | 100 | まぐろ | 100 |
鶏肉 | 100 | タコ | 100 |
豚肉 | 100 | アサリ | 100 |
肉類、魚介類、大豆、卵、牛乳などが、アミノ酸スコアの高い、良質なタンパク質とされています。
アミノ酸スコアは度々見直され、以前のものと比べると数値が変わる事があるようです。
ただし、アミノ酸スコアが高いからと言って、同じものだけを食べると栄養バランスが偏ってしまいます。
栄養が偏らないように色々な食品を使い、主食・主菜・副菜のバランスの良い食事にする事が大切です。
アミノ酸サプリメント
特定のアミノ酸が含まれたサプリメントなども販売されています。
しかし通常は、毎日の食事からタンパク質を摂ることで、同時に多種のアミノ酸も摂取しています。
そのため、通常はサプリメントで特定のアミノ酸を摂る必要は無いようです。
トレーニングする場合、BCAAサプリメントや他のサプリメントなどを摂る方も居ます。
BCAA(Branched chain amino acids)サプリメント
BCAAは3つの必須アミノ酸の総称で、バリン、ロイシン、イソロイシンを合わせたものです。
筋肉を構成する必須アミノ酸の30~40%を占め、
筋肉の合成促進や分解抑制、疲労を抑える、脂肪燃焼を促すなどと言われています。
また、筋肉中のグリコーゲンを節約するなどして、運動の持久力を高める効果があるようです。
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※本ページは厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」などを元に作成しています。