脳のエネルギーとしても重要な炭水化物について【糖質や食物繊維の働き】
5大栄養素の一つ『炭水化物』についてまとめています。
炭水化物は糖質と食物繊維の事
炭水化物は、エネルギー源になる『糖質』と、エネルギー源にならない『食物繊維』に分けられます。
一般的には、炭水化物は、エネルギー源となる『糖質』の事を指しています。
糖質と食物繊維は以下のように分類されます。
糖質 | ヒトの消化酵素で消化できる『易消化性炭水化物』 |
食物繊維 | ヒトの消化酵素で消化できない『難消化性炭水化物』 |
食物繊維の定義は十分ではありませんが、難消化性炭水化物を食物繊維と呼ぶようです。
主なエネルギー源となる糖質
糖質は、砂糖、ごはんやパンや麺類などの他に、いも類、果物などに含まれています。
1gあたり約4kcalのエネルギーを生み出し、消費エネルギーの50~65%が摂取目安とされています。
糖質の主な役割は、脳、神経組織、赤血球、腎尿細管、精巣、酸素不足の骨格筋など、
通常は、ぶどう糖(グルコース)しかエネルギー源として利用できない組織に、ぶどう糖を供給することです。
不足すると、エネルギー不足による疲労が起こります。
過剰に摂ると、体脂肪として蓄えられ肥満を招くことになります。
糖質は脳を動かすエネルギー
糖質は『脳のエネルギー源』としても重要です。
『脳』は、基礎代謝量の約20%を消費すると考えられています。
1日の基礎代謝量が1500kcalの場合、脳のエネルギー消費量は300kcalになります。
通常は、脳を動かすために、脂質やタンパク質が利用される事はありません。
糖質を長時間摂取しないでいると、脳の働きが悪くなり、疲れ、イライラ、集中力の低下などが起こります。
消化・吸収の早さ
食べ物から摂取した糖質の多くは、最終的にブドウ糖に分解されエネルギーとなります。
脂質やタンパク質に比べ、糖質は消化・吸収が早い、速効性のあるエネルギー源です。
単糖であるブドウ糖のような、分子量が少ない糖質は、早く消化吸収されます。
多糖類であるでんぷんのような、分子量が多い糖質は、消化吸収に時間がかかります。
糖質の種類
糖質の最小単位は『単糖』です。
結合数により糖類、小糖類、多糖類と分類され、体内での働きもそれぞれ異なります。
糖類(単糖類、二糖類)を過剰に摂取すると、肥満、虫歯、糖尿病の原因になると言われています。
主な糖質の種類
結合数 | 名称 | 説明 |
単糖類 (1) | ブドウ糖(グルコース) | 穀物や果物や根菜類に多い。 |
果糖(フルクトース) | 果物やはちみつに多い。 | |
二糖類 (2) | ショ糖(スクロース) | 砂糖の事。 |
麦芽糖(マルトース) | 麦芽から作られる。ビール作りに欠かせない。 | |
乳糖(ラクトース) | 母乳や牛乳に含まれる。人によっては乳糖分解酵素が少ない。 | |
オリゴ糖 (3~9) | オリゴ糖 | 難消化性。腸内の善玉菌の栄養源など。 |
多糖類 (10以上) | でんぷん | 穀類、いも類、豆類に多い。 |
他にも沢山あります。単糖の結合数がいくつまでを小糖類、いくつ以上を多糖類と呼ぶかは所説あるようです。
オリゴ糖は善玉菌の栄養源
オリゴ糖は難消化性で、消化酵素によって分解されず、ビフィズス菌など善玉菌の栄養源になるものがあり、特定保健用食品として認められています。
特定保健用食品いわゆる『トクホ』は、安全性や有効性に関する、国の審査をパスした食品だけが表示できるものです。
糖類0と糖質0の違い
単糖類と二糖類は糖類と分類されます。
『糖類0』というのは、単糖類と二糖類が入っていないものです。
『糖質0』は糖類が入っていないものです。
血糖値を上げにくい食べ物は太りにくい
糖質を摂ると、血糖値が上昇し、インスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンは余ったぶどう糖を体に脂肪として蓄える性質を持っています。
血糖値の上昇が急であるほど、インスリンが沢山分泌されるため、脂肪が蓄えられやすい。
血糖値の上昇が緩やかであれば、インスリンはそれほど分泌されないため、蓄えられる脂肪も少ない。
ジュースやお菓子などの血糖値を上げやすい食べ物は太りやすいです。
食物繊維を豊富に含んで血糖値を上げにくい穀類、根菜類などは太りにくいです。
炭水化物(糖質)はきちんとした食事で摂取する
エネルギー摂取を、甘味料や甘味飲料、酒類に過度に頼る食事は、良くありません。
主食である、ごはんやパン(食パン・フランスパン)や麺類など、
米や小麦などの穀類を使った料理で、他の食材とバランス良く栄養素を摂るようにしましょう。
甘い菓子パンは菓子類に分類され、主食には含まれないようです。
糖質と一緒にビタミンB群を摂る
ビタミンB群の中でも、とくにビタミンB1やB2は、糖質を分解する酵素の働きを助けます。
白米はビタミンBがほぼ無いので、豚肉や魚、納豆などと一緒に食べるのが良いとされます。
植物から作られるブドウ糖
ブドウ糖は植物の光合成から作られます。
穀類やいも類は、ブドウ糖をでんぷんとして実や根に蓄えています。
糖質が不足すると糖新生が起こる
糖質が不足すると、肝臓に蓄えているグリコーゲンを糖に変換して、エネルギー源として用います。
これを使い果たすと、今度は、体内の脂質や筋肉のタンパク質を分解してエネルギー源にします。
このように、糖質以外の物質からブドウ糖を生成する経路を糖新生と言います。
絶食や炭水化物抜きダイエット
絶食や、糖質の極端な不足は、糖新生が起こり、筋肉量の低下を引き起こす可能性があります。
健康を損ねる可能性がありますので、過度なダイエットには注意しましょう。
過度な糖質制限は命の危険
トレーニングをしている方の中には、マッスル北村さんの話を知っている方も居ると思います。
マッスル北村さんの死因は、低血糖からの合併症で心不全とされています。
血糖値が50mg/dl以下になると頭痛、眠気、脱力、集中力低下などの症状が出現する。血糖値が30mg/dl以下になると痙攣、昏睡になり、対応が遅れると意識が戻らないこともある。
低血糖症-Wikipediaより抜粋
みなさんの中にも、ダイエットのために糖質制限したり、炭水化物を摂らないような方も居ると思います。
ぼくも一時期そのような事もしてましたし、「倒れるんじゃないか」と思った時もありました。
命の危険もあるようですので、みなさんも、くれぐれも過度な糖質制限にならないように注意してください。
食物繊維
食物繊維は栄養素ではありませんが、第6の栄養素とも呼ばれ、健康維持に必要なものです。
食物繊維は、食後の血中中性脂肪の上昇を穏やかにする機能や、便通習慣を改善する機能があります。
摂取量不足は生活習慣病の発症率・死亡率に関係するようです。
食物繊維は、腸内細菌による、発酵分解によってエネルギーを産生します。
有効エネルギーは1gあたり0〜2kcalと考えられています。
日本人の食物繊維の摂取量は少ない
食物繊維の理想的な目標量は、
「成人では1日あたり24g以上」と考えられています。
・・ですが、現在の日本人の食物繊維の摂取状況はだいぶ少ないようです。
そのため、食物繊維は以下のように、低めの摂取目標が設定されています。
- 成人男性で21g以上
- 成人女性で18g以上
食物繊維は水溶性と不溶性がある
食物繊維の多くは、植物性の食品に含まれます。
穀類や野菜、海藻、きのこ類、豆類などに豊富に含まれます。
食物繊維は大きく以下の2つに分けられ、それぞれ特徴があります。
水溶性食物繊維 | 水分を吸収して膨張し、胃での滞留時間を長くします。糖質や脂質の吸収を妨げて排泄しやすくします。 |
不溶性食物繊維 | 腸を刺激してぜん動運動を盛んにします。また、便の量を増加させて排泄を促し、腸内環境を整えます。 |
水溶性・不溶性どちらも、バランス良く摂取するのが良いとされています。
水溶性食物繊維
水に溶けやすい食物繊維です。
粘着性があり、ゲル状になって胃腸内をゆっくり移動します。
糖質の消化・吸収するスピードを穏やかにして、食後血糖値の急激な上昇を防ぎます。
便をやわらかくして排便をスムーズにする効果があります。
しかし、摂りすぎると、下痢を起こしてしまうおそれがあります。
不溶性食物繊維
水に溶けにくい食物繊維です。
水分を含むと大きく膨らみ、腸のぜん動運動を活発にします。
便秘の予防・解消のほか、腸内の善玉菌を増やしたり、有害物質の排泄を促したり、大腸がんの予防に効果があると言われます。
アルコール
アルコールは、1gあたり約7.1kcalのエネルギーを生み出ます。
アルコールは消化を必要としないので、すぐに胃や小腸で吸収されます。
アルコール量(g)のおおよその計算は、
(アルコール度数÷100) × 飲んだ量(㎖) × 0.8 = アルコール量(g)
となるようです。
アルコール度数5%のビール500㎖を飲んだ場合は、
0.05 × 500 × 0.8 = 20g のアルコール量(g)となります。
この場合のエネルギーは、20g×7kcalで、140kcalになります。
さいごに
ぼくはダイエットを目的にしたランニングと、糖質制限などの食事制限をしました。
ですが、短期間のみです。長期間はとても続けられないと思いました。
糖質制限中は普段の生活でも疲れを感じました。
脂質などのエネルギーは摂っていたつもりですが、ランニング時はより疲労感がありました。
このまま走ったら倒れるんじゃないかと思ったほどです。
走る前は、カロリーを減らす事を意識しましたが、意識したのはほぼその事だけです。
栄養については特に調べる事もしませんでした。
ここまで糖質はエネルギーとして重要なものだと知りませんでした。
実際に体験し知った事で、しっかり食べるようになりました。
みなさんもしっかり食べて栄養を摂って、無理のない運動にしてください。
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身体機能維持に必要な脂質(脂肪)について【高いエネルギーと体や皮膚の健康に】
※本ページは厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」などを元に作成しています。